透明水彩で風景画を描きたい、より豊かな表現力を身につけたいと願うすべての方へ。
長年にわたり多くの支持を集めてきた柴崎春通氏の『透明水彩 風景画を描こう』が、
待望の新装版として登場しました。
本書は、風景画の基本から代表的なモチーフの描き方まで、
透明水彩の技法を丁寧に、そして実践的に解説した水彩風景画技法の決定版と言える一冊となっています。
独自の指導法が凝縮された内容
本書の特筆すべき点は、基本を丸筆一本として解説していることです。
多様な筆を揃える必要がなく、手軽に始められるのが魅力・・・。
丸筆の持ち味を最大限に活かすための「筆づかい」の基本を徹底的に掘り下げています。
《風景画の基礎を固める 基本技法 が学べます》
🟢 筆づかい
丸筆のストローク、点描、ドライブラシ、穂を割って描く方法など、丸筆一本から生まれる多様な表現を習得できます。
🟢 彩色
ぼかし塗り、にじみの効果、洗い出しといった水彩画特有の美しい技法に加え、透明水彩の要となる「明るい色から塗り始める」基本手順を解説しています。
🟢 遠近法
遠くのものを「淡く明るく」「あっさり省略」し、「固有色をなくす」といった、風景画に奥行きと臨場感を与えるための実践的な法則を分かりやすく紹介しています。
代表的モチーフをマスターする / 実践的な描き方
樹木、空、水辺、建物といった、風景画に欠かせない代表的なモチーフの描き方を、プロセスを追って具体的に解説しています。
🟢 樹木と花
幹と枝の表現、ケヤキやシラカバの繁みの描き方、サクラやウメ、ショウブといった花の描き方など、季節感のある表現を学べます。
🟢 空と水辺
雲の描き分け、空を反映する水面や揺れ動く水面の表現、夕焼けの空と水面の染まり方、白い波など、水彩画の醍醐味である水の表現技法が満載です。
🟢 建物
わら屋根の民家や寺院、建物の窓など、構造物の描き方や風景画における点景人物の配置まで網羅しています。
読んでみての所感:上達への確かな道筋を示す一冊
この本は、単なる技法の羅列でなく、
絵を描く上での「なぜそうするのか」という根拠を明確に示してくれます。
特に「遠近法」の章で、遠くのものを表現するための色の扱い方や省略の仕方を学ぶことで、
自分の絵に足りなかったものが何かが明確になりました。
また、「基本は丸筆一本」という教えは、絵の具の扱い方や混色の難しさに挫折しがちな初心者にとって、
まず「筆の操作」に集中できるという点で非常に優れています。
技法の一つ一つが丁寧なプロセス解説付きで紹介されているため、
真似ることから始めやすく、「描けた」という成功体験を積み重ねやすい構成になっています。
透明水彩画が持つ、光を通したような透明感と、
にじみやぼかしによる柔らかな美しさを表現するために必要な、
確かな技術と水彩画特有の考え方を、この一冊で体系的に学べると感じました。
この本はこんな方におすすめ!
🟢 透明水彩画をこれから始める初心者の方
丸筆一本を基本とした解説で、道具を揃えるハードルが低く、基本の筆づかいや彩色法を順序立てて学べます。
🟢 自己流で描いてきたが、風景画をもっと上達させたい方
遠近法やモチーフ別の具体的な技法を体系的に学ぶことで、表現の幅を広げ、次のステップに進むためのヒントが得られます。
🟢 水彩画の美しい表現を習得したい方
ぼかし、にじみ、洗い出しといった水彩画ならではの技法や、光と影の表現を効果的に行うための手順を学びたい方。
まとめ
『新装版 透明水彩 風景画を描こう』は、2003年の原著刊行以来、
多くの水彩愛好家から支持されてきた信頼性の高い入門書です。
筆づかいや彩色法の基礎から、樹木、空、水辺、建物といった風景画の主要モチーフの描き方まで、
プロの技をわかりやすいプロセスで解説しています。
透明水彩画の魅力を最大限に引き出し、あなたの風景画の腕前を確実に向上させるための、
実践的なガイドブックとして自信を持っておすすめできる一冊です。
本書を手に取って、透明水彩画の美しい世界への第一歩を踏み出してみませんか。
