Appleが2024年5月に発表した M4チップは、前世代のM3チップから大きく進化し、性能面で目を見張るような改善がされています。
Appleはまた一歩、私たちのデジタル体験を変える技術を手に入れたと言っても過言ではありません。
今回の記事は、CPU・GPU ベンチマーク性能(Geekbench)、気になる仕様や特徴、M3チップとの比較、そして、M4チップがどんな変化をもたらすのか、どうしてこれほど注目されているのか、今回はその魅力に迫っていきたいと思います・・・
M4チップの仕様
旧型の「Apple M3チップ・M2チップ」と進化した「Apple M4チップ」の仕様の比較をしてみました。
チップ(SoC) | M4 | M3 | M2 |
---|---|---|---|
プロセスルール | 3nm(第2世代) | 3nm | 5nm(第2世代) |
CPU(コア数) |
8コア (高性能4コア+高効率4コア) 9コア (高性能3コア+高効率6コア) 10コア (高性能4コア+高効率6コア) |
8コア (高性能4コア+高効率4コア) |
8コア (高性能4コア+高効率4コア) |
CPU : 最大クロック周波数 |
高性能コア : 4.41GHz 高効率コア : 2.85GHz |
高性能コア : 4.06GHz 高効率コア : 2.75GHz |
高性能コア : 3.5GHz 高効率コア : 2.42GHz |
GPU(コア数) | 8コア または 10コア | 8コア または 10コア | 8コア または 10コア |
GPU : クロック周波数 | 0.39GHz(最大1.68GHz) | 0.39GHz(最大1.4GHz) | 0.45GHz(最大1.4GHz) |
トランジスタ数 | 約280億個 | 約250億個 | 約200億個 |
Neural Engine(演算能力/秒) | 16コア(38兆回/秒) | 16コア(18兆回/秒) | 16コア(15.8兆回/秒) |
メディアエンジン | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ |
メモリ | 8GB/16GB/24GB/32GB | 8GB/16GB/24GB | 8GB/16GB/24GB |
メモリ種類 | LPDDR5X-7500 | LPDDR5-6400 | LPDDR5-6400 |
CPU性能 もっと速く、もっと効率的に
出典 Apple ホームページ
M4チップの最大の特徴のひとつが、その強力なCPU。M4は、今のところ 8コア(4つの高性能コアと4つの高効率コア) と 9コア(3つの高性能コアと6つの高効率コア) と 10コア(4つの高性能コアと6つの高効率コア)の3種類の設計を採用し、前世代のM3よりも効率的に作業をこなしてくれます。
例えば、写真や動画編集、比較的大きなデータを扱うアプリケーションを使う時にも、M4チップならM3よりもサクサクに動き、ストレスも少なく作業を進めることができます。しかも、このパフォーマンスを実現しながら、消費電力も抑えられているので、バッテリーも長持ちするらしいです。つまり、外出先でも長時間、快適に作業ができるというわけです。
GPU性能 美しいグラフィックをさらにリアルに
M4チップに搭載されたGPU。これがまたすごい! これまでのチップと比べて、グラフィック処理の性能が向上しています。例えば、そこそこの3Dグラフィックスや高精度な映像処理を行う際にも、M4なら いい感じにスムーズで美しい映像を処理できます。
特に、M4チップのGPUは「レイトレーシング」や「メッシュシェーディング」といった新しい技術にも対応。これにより、ゲームや映画のようなリアルな光と影の表現が可能になりました。これから、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の世界でも、驚くほど精細なビジュアルを体験できるようになるでしょう。
AI処理能力 驚異のNeural Engineで作業がもっと簡単に
M4チップに搭載されているNeural Engineは、まさにAI処理の革命です。毎秒38兆回という、想像を超える演算処理を行うことができ、従来のチップよりもずっと速く、賢くタスクをこなします。
例えば、Final Cut Proでのビデオ編集時、被写体を背景から一発で分離するなんてこともM4チップなら簡単にできてしまいます。また、音楽を自動で楽譜に変換するStaffPadのようなアプリでも、M4チップはリアルタイムで処理を行い、作業が良い感じにスムーズに進みます。
AIの力を活かすことで、日々の作業がこれまで以上に効率的に、簡単にこなせるようになるわけです。しかも、AI処理を行っている間も消費電力を抑えつつ、バッテリーに優しいので、長時間使っても安心です・・・
先進的な製造技術 小さなチップにぎゅっと詰め込まれた力
M4チップのもう一つの特徴は、その製造技術です。M4は、Appleが誇る3ナノメートルの製造プロセスを採用しており、このおかげで、小さなサイズでありながら、より多くのトランジスタを搭載しています。これにより、性能が大幅に向上し、より効率的に動作することができるのです。
さらに、小型化により、デバイス全体の熱管理も向上し、チップがパフォーマンスを発揮しながらも冷却がうまくいくそうです。これによりデバイスが長時間、快適に使用できるようになります。
新しいディスプレイエンジン 美しい画面をもっと美しく
出典 Apple ホームページ
M4チップに新たに搭載された「ディスプレイエンジン」は、iPad ProのUltra Retina XDRディスプレイをさらに進化させる力を持っています。色の再現性が向上し、映像がこれまで以上に鮮やかでリアルに。クリエイティブな作業をする上で、色の精度はとても重要ですが、M4チップならその点も完璧にこなしてくれます。
色彩が豊かで、視覚的に引き込まれる映像体験は、映画や写真の編集作業にも大きな力を発揮します。目に優しく、長時間でも快適に作業できるのも魅力的です。
Apple M4チップが切り拓く未来
AppleのM4チップは、現在はiPad Pro、MacBook Pro、iMacなどに搭載されているだけですが、今後はその他のMacシリーズや他のデバイスにも広がっていくことが予想されます。これにより、Appleの製品全体のパフォーマンスがさらに強化され、ユーザー体験がより一層充実することが期待されています。
これからのAppleデバイスは、M4チップによってさらに進化し、私たちの生活に溶け込み、より便利で楽しいものになるでしょう。
M3チップとの比較
VS 出典 Apple ホームページ
AppleのM4チップは、M3チップに対して大きな性能向上を見せており、特にNeural Engineに関して顕著な進化が見られます。M4チップのNeural Engineは毎秒38兆回の演算処理が可能で、M3チップの18兆回から約2.1倍の向上を実現しています。この性能向上により、AI処理能力が大幅に強化され、顔認識や音声アシスタント、リアルタイムの画像・動画編集など、AIを活用したタスクがより高速で効率的に処理されます。
さらに、M4チップは、前世代のM3チップ(3nmプロセス)をもとに、改良された第2世代3nmプロセスを採用し、消費電力を抑えつつ高いパフォーマンスを実現しています。これにより、長時間の使用でも効率的に動作し、ユーザーにとって快適な体験を提供します。加えて、M4チップは今後登場する新しいAppleのAI機能にも柔軟に対応できる能力を備えており、未来のテクノロジーを支える基盤としての役割も果たします。
実際のベンチマークテストでは、M4チップのAI処理能力がM3チップと比較して32%〜46%向上しており、これによりAIや機械学習を活用したアプリケーションの動作がよりスムーズになります。M4チップは処理速度、効率性、将来のAI機能への対応においてM3チップを上回り、ユーザー体験の向上が期待されます。
M4チップ搭載 iPad Pro のベンチマーク
# その時の本体の状態によって、ベンチマークの数値は、毎回変わってきます。なので、この記事の全てのベンチマークスコアは、あくまでも目安として参考にしてください・・・
Geekbench 6
🟡 CPUスコア 前期モデルとのベンチマーク比較《 Geekbench 6 》
種類 | シングルスコア | マルチスコア |
---|---|---|
M4チップ搭載 Mac book Pro (CPU:10コア) | 3734 | 14853 |
M4チップ搭載 iPad Pro (CPU:9コア) | 3731 | 13346 |
M4チップ搭載 iMac(CPU:8コア) | 3724 | 13609 |
M3チップ搭載Mac book Pro | 3038 | 11692 |
M2チップ搭載Mac book Pro | 2603 | 9825 |
M1チップ搭載Mac book Pro | 2372 | 8411 |
🟡 他社CPUとのベンチマーク比較《 Geekbench 6 》
CPU | シングルスコア | マルチスコア |
---|---|---|
Intel Core i9-12900KS | 2638 | 15931 |
Intel Core i7-14650HX | 2635 | 15011 |
M4チップ搭載 Mac book Pro (CPU:10コア) | 3756 | 14753 |
M4チップ搭載 iMac(CPU:8コア) | 3724 | 13609 |
M4チップ搭載 iPad Pro (CPU:9コア) | 3731 | 13346 |
AMD Ryzen 7 7745HX | 2678 | 13201 |
AMD EPYC 7413 | 1546 | 12834 |
Intel Core i5-12600KF | 2470 | 12162 |
AMD Ryzen 9 7940HS | 2495 | 11837 |
Apple M3Apple M3チップ | 2131 | 11692 |
Intel Core i9-11900K | 2384 | 11214 |
🟡 GPUスコア 《 Geekbench 6 》
種類(SoC) | GPUスコア(メタルスコア) |
---|---|
Apple M4チップ 10コアGPU(Mac book Pro) | 57502 |
Apple M4チップ 8コアGPU(iMac) | 47597 |
Apple M3チップ 10コアGPU(Mac book Pro) | 47381 |
Apple M3チップ 8コアGPU(iMac) | 41019 |
Apple M2チップ 10コアGPU(Mac book Pro) | 45367 |
Apple M2チップ 8コアGPU(Mac book Air) | 40135 |
Apple M1チップ 8コアGPU(Mac book Pro) | 31861 |
Apple M1チップ 7コアGPU(Mac book Air) | 29374 |
🟡 AIスコア 《 Geekbench AI (CoreML ニューラルエンジン)》
種類(SoC) | Single Precision | Half Precision | Quantized |
---|---|---|---|
Apple M4チップ(10コアCPU/10コアGPU) | 5768 | 37531 | 50803 |
Apple M3チップ(8コアCPU/10コアGPU) | 4158 | 32817 | 37029 |
Apple M2チップ(8コアCPU/10コアGPU) | 3486 | 28213 | 31517 |
Apple M1チップ(8コアCPU/8コアGPU) | 3234 | 16447 | 16160 |
まとめ:M4チップで広がる新しい可能性
Apple M4チップは、CPU、GPU、AI処理能力、そしてディスプレイ技術に至るまで、すべての面で優れた進化を遂げています。このチップのおかげで、Appleのデバイスは一層快適でスムーズに動作し、クリエイティブな作業や日常的なタスクをもっと楽にこなせるようになります。これからもAppleは、このM4チップを駆使して、新しいテクノロジーの扉を開いていくでしょう。
M4チップが搭載されたデバイスを手に取ることで、私たちはこれからのテクノロジーがもたらす新しい可能性を感じることができるはずです。