初めに・・・
「仮想デスクトップって、結局どういうもの?」
パソコンを使っていると、そんな疑問を持つことがあるかもしれません。
実は「仮想デスクトップ」という言葉は、ひとつの意味だけを持っているわけではありません。
パソコンの操作方法を調べているときに出てくる「仮想デスクトップ」と、企業のITシステムやテレワークについて調べているときに出てくる「仮想デスクトップ」では、意味が異なります。
前者は、1台のパソコンで複数のデスクトップ画面を使い分けるための機能。
後者は、サーバーやクラウド上に用意したデスクトップ環境を利用する仕組みで、一般的にVDI(Virtual Desktop Infrastructure)などと呼ばれます。
名前が同じなので混乱しやすいのですが、仕組みを知れば違いは意外とシンプルです。
この記事では、パソコン初心者の方にもイメージしやすいように、2種類の「仮想デスクトップ」について、それぞれの特徴や違いを順番に解説していきたいと思います。
そもそも「仮想デスクトップ」とは?

まず、パソコンの機能として使われる「仮想デスクトップ」から考えてみましょう。
これは、デスクトップ環境を拡張するための機能です。
通常のパソコンでは、ひとつのデスクトップ画面に複数のアプリやウィンドウを開いて作業します。
仕事をしていると、Webブラウザ、メール、Excel、Word、チャットツールなどを同時に開くことも珍しくありません。
便利な反面、ウィンドウが増えてくると画面がごちゃごちゃしてしまいます。
「必要な資料が見つからない」
「さっきまで見ていた画面がどこにあるかわからない」
という状態になってしまうこともあるでしょう。
そこで活躍するのが仮想デスクトップです。
1台のパソコンの中に複数のデスクトップを作り、それぞれを切り替えて利用できます。
パソコンそのものを何台も用意する必要はありません。
ひとつのディスプレイを使いながら、複数の作業スペースを持てるのが特徴です。
Windows 10以降にも搭載された便利な機能
仮想デスクトップは、最近突然登場した機能ではありません。
以前からMacやLinuxなどでは、複数のデスクトップ環境を切り替えて使う仕組みが利用されていました。
そしてWindowsでも、Windows 10以降に標準機能として仮想デスクトップが搭載されています。
そのため、対応するWindows環境であれば、特別なソフトを追加しなくても利用できます。
普段はひとつのデスクトップしか使っていない人にとっては、「こんな機能があったのか」と感じるかもしれません。
特に、ひとつの画面で複数の仕事を並行して進める人にとって、覚えておくと便利な機能です。
仮想デスクトップを使うと何が変わる?

最大のポイントは、作業内容ごとにデスクトップを分けられることです。
たとえば、
- デスクトップ1はメールやチャット
- デスクトップ2はWordやExcelでの資料作成
- デスクトップ3はWebサイトの調査
- デスクトップ4は画像編集などの作業
というように、自分なりのルールで整理できます。
作業を切り替えるときは、別のデスクトップへ移動するだけです。
たくさんのウィンドウをひとつの画面に詰め込む必要がなくなるため、「今はこの作業だけに集中する」という環境を作りやすくなります。
また、用途に応じてデスクトップ環境を使い分けられることから、複数の作業を行き来する場面でも便利です。
ただし、注意したいのは、仮想デスクトップを増やしてもパソコンの性能そのものが向上するわけではないという点です。
CPUやメモリの性能が上がるわけではありません。
あくまでも、画面上の作業環境を整理・切り替えするための機能と考えましょう。
モニターを増やすのとは何が違う?
複数の作業を同時に行うなら、モニターを追加する方法もあります。
たしかに、2台、3台とディスプレイを増やせば、より広い作業スペースを確保できます。
しかし、仮想デスクトップの場合は、物理的なディスプレイを増やさなくても複数の作業スペースを持てるのが特徴です。
たとえばノートパソコン1台でも、仮想的に複数のデスクトップを作成できます。
「常に複数の情報を表示しておきたい」という人には複数モニターが向いている一方、「作業ごとに画面を整理して切り替えたい」という人には仮想デスクトップが便利です。
企業で聞く「仮想デスクトップ」は意味が違う

ここからが、もうひとつの「仮想デスクトップ」です。
企業のシステムやテレワークの話題で登場する場合、
「仮想デスクトップ」は VDI(Virtual Desktop Infrastructure) を意味することがあります。
VDIは、デスクトップ環境をサーバーやクラウド上に用意し、利用者が自分のパソコンなどからネットワーク経由で接続して利用する仕組みです。
先ほどのWindowsなどに搭載された仮想デスクトップとは、目的も構造も異なります。
違いを簡単に整理すると、
・パソコンの仮想デスクトップ
→ 1台のPCの中に複数の作業スペースを作る
・VDI
→ サーバーやクラウド上に仮想的なPC環境を用意して、そこへ接続する
という関係です。
同じ「デスクトップ」という言葉を使っていますが、ここは混同しやすいポイントなので覚えておきましょう。
【OSの機能としての仮想デスクトップ】 と 【企業向け仮想デスクトップ(VDI)】の違い
| 比較項目 | OSの機能としての仮想デスクトップ | 企業向けの仮想デスクトップ(VDI) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 1台のパソコンで作業スペースを分ける | 仮想的なデスクトップ環境を企業で利用する |
| デスクトップの場所 | 使用しているパソコンの中 | サーバーやクラウド上 |
| 利用方法 | デスクトップ画面を切り替える | ネットワーク経由で仮想環境へ接続する |
| 主な利用者 | 個人ユーザー | 企業・組織など |
| 主な用途 | 作業環境の整理、複数作業の使い分け | テレワーク、業務環境の一元管理など |
| パソコンの台数 | 1台で複数の作業スペースを利用 | 端末から仮想デスクトップへアクセス |
| データの保存場所 | 基本的に利用しているパソコン | サーバーやクラウド側で管理する構成が可能 |
| ネットワークへの依存 | 比較的小さい | ネットワーク環境が重要 |
| 導入の難しさ | 比較的簡単 | 設計・構築・運用などが必要 |
| セキュリティ対策 | 通常のパソコンのセキュリティ対策が中心 | 認証・アクセス制御・通信保護など総合的な対策が必要 |
VDIはどんな場面で使われる?
企業向けのVDIが注目されている理由のひとつが、テレワークへの対応です。
たとえば、社員が自宅から仕事をするとします。
VDIを利用すれば、会社側やクラウド上に用意された仮想デスクトップへ接続し、そこから業務を行う環境を構築できます。
自宅のパソコンに会社の業務環境をすべて用意するのではなく、必要な環境を離れた場所に用意しておくという考え方です。
また、企業側にとっては、パソコン環境をまとめて管理しやすくなるというメリットもあります。
OSやアプリケーションなどを含むデスクトップ環境を一元的に管理することで、社員一人ひとりの端末を個別に設定・管理する負担を減らせる場合があります。
VDIにはセキュリティ面のメリットもある

企業がVDIを導入する理由として、セキュリティ面も挙げられます。
VDIでは、業務データをサーバーやクラウド側で管理する構成にできます。
そのため、端末側に重要なデータを保存しない運用を実現することも可能です。
たとえば、業務用パソコンを紛失した場合でも、端末そのものに重要なデータが残っていなければ、情報漏えいのリスクを抑えるための対策になります。
ただし、ここで誤解してはいけないのが、「VDIを導入すればセキュリティ対策は完了する」というわけではないことです。
多要素認証やアクセス権限の管理、通信の保護、ログの監視など、複数の対策を組み合わせる必要があります。
仮想デスクトップのメリットと注意点
OSの機能としての仮想デスクトップには、主に「作業環境を整理しやすい」というメリットがあります。
特に、ひとつのパソコンで複数の作業を行う人に向いています。
一方、VDIには、テレワークへの対応やIT環境の一元管理など、企業側から見たメリットがあります。
ただし、VDIの場合はネットワーク環境が重要です。
通信が不安定であれば、画面の表示や操作に影響が出る可能性があります。
さらに、導入時にはサーバー、クラウド、ネットワーク、認証、セキュリティ、運用体制などを考える必要があります。
便利な仕組みだからといって、すべての企業に必ず適しているとは限りません。
「仮想デスクトップ」と検索したときに混乱する理由
「仮想デスクトップについて調べたのに、記事によって説明が違う」
そんな経験をする人がいるのも無理はありません。
なぜなら、同じ「仮想デスクトップ」という言葉で、2種類の仕組みが語られているからです。
Windowsの操作方法を調べているときは、OSの機能としての仮想デスクトップ。
会社のテレワーク環境やクラウド、ITセキュリティについて調べているときは、VDIなどの企業向け仮想デスクトップ。
この違いを知っておくだけでも、情報を探すときの混乱をかなり減らせます。

2つの仮想デスクトップを身近な例で比較
最後に、イメージしやすいよう「部屋」に例えてみましょう。
OSの仮想デスクトップは、ひとつの家の中に複数の部屋を作るようなものです。
仕事部屋、趣味の部屋、勉強部屋というように、目的別に空間を分けられます。
一方、VDIは、遠くにある仕事部屋をネットワーク経由で利用するようなものです。
目の前にあるパソコンは、その部屋へアクセスするための入口のような役割を果たします。
こう考えると、両者の違いがイメージしやすくなるでしょう。
最後に・・・
「仮想デスクトップ」は2つの意味を理解するのがポイントです!
仮想デスクトップについて理解するとき、最初に覚えておきたいのは、「仮想デスクトップ」という言葉には主に2つの意味があるということです。
ひとつは、WindowsなどのOSに搭載されている機能。
これは、1台のパソコンの中で複数のデスクトップ環境を作り、画面を切り替えながら使うためのものです。
MacやLinuxでは以前から利用されており、WindowsでもWindows 10以降に搭載されました。
仕事、資料作成、Web検索など、用途に応じて作業スペースを分けられるため、画面を整理したいときに役立ちます。
そして、もうひとつが企業向けのVDIです。
VDIは、サーバーやクラウド上に仮想的なデスクトップ環境を用意し、利用者がネットワーク経由でアクセスする仕組みです。
テレワークや業務環境の一元管理、セキュリティ対策などに活用されています。
つまり、
「パソコンの中でデスクトップを増やす」のがOSの仮想デスクトップ。
「離れた場所にある仮想的なPC環境を利用する」のがVDI。
この違いを理解しておけば、「仮想デスクトップ」という言葉を見かけたときも、どちらを指しているのか判断しやすくなります。
一見すると難しそうな言葉ですが、実際には「作業スペースを分ける」という身近な考え方から生まれた便利な仕組みです。
普段使っているパソコンの作業環境を整理したい人も、企業のテレワーク環境について知りたい人も、まずはこの2つを区別するところから始めてみましょう。
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