今回は、AMD Ryzen 5 8645HSのベンチマーク(PassMark・Cinebench・Geekbench) CPU性能や特徴などを記事にしていきたいと思います。そして、このCPUが搭載されているパソコンを紹介したいと思います。
AMD Ryzen 5 8645HSは、高いクロック速度と効率的なアーキテクチャを兼ね備えた、非常にバランスの取れたモバイルプロセッサです。このプロセッサは中~上位クラスの性能を発揮し、日常的な作業から軽めのクリエイティブな作業まで、幅広いニーズに応えることができます。特に、優れたシングルスレッド性能と効率的な電力管理が魅力で、ノートPCユーザーにとって非常に選びやすい選択肢と言えると思います。
このプロセッサは、主にクリエイターノートPCやゲーミングノートPCに使われるプロセッサです。
AMD Ryzen 5 8645HS の仕様
CPU | AMD Ryzen 5 8645HS | |
---|---|---|
開発コード / アーキテクチャ | Hawk Point / Zen 4 | |
コア数 / スレッド数 | 6コア / 12スレッド | |
基本クロック | 4.3GHz | |
最大ブースト・クロック | 最大5.0GHz | |
L2キャッシュ合計 | 6MB | |
L3キャッシュ合計 | 16MB | |
対応メモリ | DDR5-5600・LPDDR5x-7500 | |
最大温度 | 100℃ | |
TDP(デフォルト) | 45W | |
TDP(cTDP) | 35W~54W | |
製造プロセス
|
4nm | |
AI
|
名前 | AMD Ryzen AI |
Performance
|
最大 16 TOPS | |
Total Processor Performance
|
最大 31 TOPS | |
NPU Performance
|
最大 16 TOPS | |
内蔵GPU |
名前 | AMD Radeon 760M(RDNA 3) |
GPUコア
|
8コア | |
グラフィックス周波数
|
2.60GHz |
AMD Ryzen 5 8645HS の特徴
AMDの最新モバイルプロセッサ、Ryzen 5 8645HSは、ユーザーに優れた性能と効率を提供する新しいモデルです。ここでは、このCPUの特徴を探っていきます。
《基本スペック》
Ryzen 5 8645HSは次のような主要なスペックを備えています
CPUのコア数 / スレッド数は、6コア / 12スレッドで、ベースクロックが4.3 GHz、ブーストクロックは5.0 GHzです。GPUは、AMD Radeon 760Mを採用、GPUコア数は、8コア、グラフィックス周波数が2.6GHzとなっています。
そして、TDPが45W(35~54Wで調整可能)となります。
このプロセッサは、AMDの新しいZen 4アーキテクチャに基づいており、4 nmプロセスを採用しています。この微細な技術革新により、高い電力効率とパフォーマンス性能を実現しています。
《CPU性能》
ベンチマーク(PassMark)では、デスクトップ向けCPUの「Intel Core i9-10850K 」よりも高くなっています。高いパフォーマンス性だけではなく、省電性も考えられたプロセッサです。
《グラフィックス性能》
GPU性能は、従来モデルからの性能の向上、レイトレーシング アクセラレーションの拡張、省電力化、 AI効率による単位時間当たりのデータ転送量や処理能力の向上などもしているそうです。これにより、軽度から中程度のグラフィックス処理がそこそこに行えます。
《メモリサポート》
Ryzen 5 8645HSは以下のメモリ規格に対応しています
- DDR5-5600
- LPDDR5x-7500
これにより、データ処理速度が向上し、全体的なシステムパフォーマンスも改善されます。
《AI処理能力》
NPUパフォーマンスは、最大16TOPS、Total Processor Performanceでは、最大31TOPSとなります。
Ryzen 8000シリーズの特筆すべき特徴は、XDNAアーキテクチャを採用したNPU(Neural Processing Unit)の強化です。「XDNAアーキテクチャ」と呼ばれる革新的な構造により、通常のCPU処理の負荷を軽減しつつ、高い処理性能と電力効率を実現しています。さらに、NPU搭載のPCにはWindows 11の「Studio Effects Pack」が対応しており、AI機能を駆使してWebカメラ映像の背景ぼかしや音声のノイズ除去などを行うことができます。これにより、より洗練されたデジタル体験が提供されることが期待されます。
《省電力性》
TDPが45WのRyzen 5 8645HSは、高性能を維持しつつも電力効率に優れています。OEM設定によって35~54Wの範囲で調整できるため、ノートPCの使用目的や冷却設計に応じて最適化が可能らしいです。ただ、そうは言っても、ノート型パソコンに使われるプロセッサの中では、消費電力が高目の仕様です。省電力性よりもパワーとパフォーマンス性能を優先したハイスペックモデルとなっているため、ちょっと発熱が気になります。熱が発生しやすい場合、それを冷やすためにファンがフル稼働するため、ファンの音が苦手な方は、注意が必要です。
《まとめ》
AMD Ryzen 5 8645HSは、高性能、効率性、そして先進的なAI処理能力を兼ね備えたモバイルプロセッサとして、非常に魅力的な選択肢です。前世代モデルからの大幅な性能向上に加え、Intel製品と互角以上の性能を発揮します。高速なメモリサポートと効率的な電力管理により、日常的なタスクから軽度のクリエイティブワーク、さらにはAI関連の処理まで、多様なニーズに応えることが期待されています。
AMD Ryzen 5 8645HSは、日常生活で使う分には、十分な性能を持っているプロセッサです。例えばインターネットの閲覧や書類作成は、ストレス無く、サクサク快適にこなせると思います。あと、簡単な動画編集ぐらいなら、内蔵GPUで、そこそこいけると思います。ただ、グラフィックス性能を、たくさん必要とする凝った動画編集や高画質のオンラインゲームとかをする場合は、高い性能の単体GPU(dGPU)、つまりグラフィックボードがないと厳しいかと思います。
#(グラフィックボードは種類によって性能が違い、できる内容も変わっていきます)
ちなみに、AMD製 APU(CPU)が搭載されているノート型パソコンは、同性能のIntel製 CPUが搭載されているノート型パソコンと比較した場合、比較的値段が安くコスパが良いのでお得感があります。
AMD Ryzen 5 8645HS はどんな作業に向いている?
AMD Ryzen 5 8645HS は、以下のような用途に向いています。
・マルチタスキング
AMD Ryzen 5 8645HSは、複数のアプリケーションやプログラムを同時に実行する場合でも、スムーズな動作を実現します。例えば、複数のウェブブラウザータブを開いたり、多目的作業など、同時に使用する場合でも、高いパフォーマンスを発揮します。
・クリエイティブな作業
「Zen 4アーキテクチャ」を採用し、6コア/12スレッド、基本クロック4.3GHz、ブーストクロック最大5.0GHzのCPUと、内蔵GPU「Radeon 760M」を採用し、GPUコアは8コア、グラフィック周波数が2600MHzとなっています。そんなに重くないデータの写真編集、画像編集、グラフィックデザイン、動画編集、音楽制作などのクリエイティブな作業は、そこそこの性能を発揮すると思います。比較的データの大きい動画編集や3Dグラフィックデザインなどをする場合は、高いグラフィックス性能を必要とするので、内蔵GPUのみだと けっこうキツイと思います。ただし、性能の高い単体GPU(dGPU)、つまりグラフィックボードが搭載されていれば、動画編集や3Dレンダリングなどの負荷の高い作業もまあまあいけると思います。
・オフィス作業
文書作成、スプレッドシートの編集、プレゼンテーションの作成など、オフィス作業は快適にこなせます。6コア/12スレッドのCPUコアと16MBのL3キャッシュにより、マルチタスクや複数のアプリを同時に使用する事などができるので、より快適な動作環境を提供し、作業効率を高めてくれると思います。
・ゲーム
内蔵GPUのみの場合、ゲームやオンラインゲームなどをプレイするには、解像度やフレームレートなどの品質を落とせば、けっこういける性能だと思います。ただし、最新の高負荷ゲームやVRゲームには、ちょっと不向きかもしれませんが、性能の高いグラフィックボード(単体GPU)が搭載されていれば、けっこういけると思います。
・ウェブブラウジング
インターネット上での検索、ウェブサイトの閲覧、オンライン動画の視聴など、ウェブブラウジングにも適しています。複数のタブを同時に開いても、快適なブラウジングができると思います。
・ビジネスソフト/アプリケーション
AMD製プロセッサ対応のビジネス向けのアプリケーションやソフトウェアであれば、データベース管理、会計ソフトウェア、顧客管理システムなど、使用する場合にも高いパフォーマンスを発揮してくれると思います。一部のアプリケーションやツールでは、AIや機械学習の処理を支援することも可能です。高性能なCPUは、これらのタスクに対しても良いパフォーマンスを発揮します。
AMD Ryzenシリーズの性能を表す数字&アルファベットの部分
ノートPC向けCPU「 Ryzen 8000シリーズ」下二桁の数字が表す部分
下二桁の数字の部分(コード名) | アルファベットの部分 | アーキテクチャ | プロセス | TDP | cTDP |
---|---|---|---|---|---|
○○45 (Hawk Point) | HSシリーズ | Zen4 | 4nm | 45W | 35W~54W |
○○40 (Hawk Point) | HSシリーズ / Uシリーズ | Zen4 | 4nm | 28W |
20W~30W 15W~30W |
ノートPC向けCPU「 Ryzen 8000シリーズ」階級の説明
下二桁の数字の部分(コード名) | アルファベットの部分 | 階級の説明 |
---|---|---|
○○45 (Hawk Point) | HSシリーズ | TDP45W、ハイスペック ゲーミング ノートPC向けのCPUとなっております。パワー重視のハイパフォーマンスモデルです。 |
○○40 (Hawk Point) | HSシリーズ / Uシリーズ |
「Zen4 アーキテクチャ」を採用し、高いパフォーマンスと効率性を可能とした高性能モデルです。 #注意(Ryzen 3 8440U と Ryzen 5 8540Uは、Ryzen AI非対応です。) |
AMD Ryzen 5 8645HS のベンチマーク CPU性能
#この記事の全てのベンチマークスコアは、パソコン等によって数値が違ってきます。測定には RAM も含まれるので、メモリの種類によっては、結果が大きく変わります。なので、この記事の全てのベンチマークスコアは、あくまでも目安として参考にしてみてください・・・
【PassMark】比較表(マルチスコアの高い順)
CPU | シングルスコア | マルチスコア |
---|---|---|
AMD Ryzen 7 7735HS | 3353 | 24083 |
Intel Core i5-13500H | 3608 | 24019 |
AMD Ryzen 7 3800X | 2697 | 23082 |
AMD Ryzen 5 8645HS | 3691 | 22583 |
Intel Core i9-10850K | 3073 | 22276 |
AMD Ryzen 5 7640U | 3554 | 21504 |
AMD Ryzen 5 8640U | 3417 | 21019 |
AMD Ryzen 7 7735U | 3280 | 21127 |
【Cinebench R23 】比較表(マルチスコアの高い順)
CPU | シングルスコア | マルチスコア |
---|---|---|
AMD Ryzen 9 6900HX | 1641 | 14526 |
Intel Core i9-10900X | 1143 | 14339 |
Intel Core i9-9900KS | 1346 | 13429 |
AMD Ryzen 5 8645HS | 1732 | 13074 |
AMD Ryzen 5 8640HS | 1728 | 13050 |
AMD Ryzen 5 7640HS | 1693 | 12827 |
AMD Ryzen 7 3700X | 1280 | 12481 |
Intel Core i7-11800H | 1479 | 11938 |
【Geekbench 6】比較表(マルチスコアの高い順)
CPU | シングルスコア | マルチスコア |
---|---|---|
Intel Core i5-12600KF | 2472 | 11989 |
AMD Ryzen 7 PRO 7840HS | 2231 | 10861 |
AMD Ryzen 7 7840U | 2415 | 10827 |
AMD Ryzen 5 8645HS | 2460 | 10435 |
AMD Ryzen 5 8640U | 2456 | 10319 |
Intel Core Ultra 5 125H | 2249 | 10174 |
Intel Core i5-12600 | 2378 | 9952 |
AMD Ryzen 5 7640U | 2280 | 9118 |
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